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人間は、時として、充されるか、充されないか、
わからない欲望の為に、一生を捧げてしまう。
その愚を哂う者は、畢竟、
人生に対する路傍の人に過ぎない。
芥川 龍之介 「芋粥」より
多摩美術大学在学時のプロダクトデザイン作品を中心に、デザイン作品をまとめた作品集。
卒業後から学習しているグラフィック、エディトリアルデザインの総合的な実践として制作。A4 判無線綴じ、カラー 40 頁。
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就職活動のために平成十五年頃から作り始め、使用目的は変わらず、掲載作品は少しずつ変わり、デザインは大幅に進歩をして現状に至る。
独学で学んできた紙面デザインは、この Ver. 4.4.4 で、ある一定の回答を得た。と書けばまとまりは良いが、ただ漠然とした手応えがあるのみで、それは過去の全てのヴァージョンに於いても感じられたものと同種である。その“手応え”は時間の経過、すなわち私の変化によって徐々に虚無化し、見るのも嫌になり、作り直す、ことによって、デザイン及びスキルを向上させてきたという経緯がある。だからきっと、この“手応え”もいずれ虚無となるだろう。それは私にとって良いことだ。
ともかく一定の回答を得たということにして、それまで 20 ポケットのファイルブックにまとめていたもの、つまり改訂の都度差し替えることを前提としていたものを、製本することで作品として完結させることにした。(製本のための多少の手直しをして)
現状の“手応え”に従えば、なかなかよくまとまった気がする。そして二ヶ月もすれば嫌になって半年後にはもっと良いものも作ることができるだろう。
もういい。良いものは作りたい。ただし違うモチーフだ。
“私の作品集”から、“私の作品のひとつ”として、次への橋頭堡になってもらおう。かれこれ五年も踏み固めたものだから、だいぶしっかりしているのではないだろうか。
平成十七年の八月に、横浜のアパートで人生を考えていた彼に見せてやりたいものだ。九月に動き始めたあいつは今、頭をひねってこのテキストを書いているよ。
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