white copy papers*

香川領豊島上陸

エレファント・マン
デヴィッド・リンチ　監督　|　映画　1980年

Jan. 8. Sat. 2011　鑑賞

「どんな人生か想像がつくか？」
「……だいたいは」
「いや、彼の人生は誰にも想像できないだろう」

エレファント・マンのささやかな願い、ふつうに生きていたいだけなのだけど、そんなことを考える必要もなく生きてこられた大多数の幸福な人々が、団結して世の中を真っ平らにしようとするわけだ。
　泣いたな。温かい人々も居るということに。

しかしジョン・メリックに親切を尽くした医師も、世間の冷たさにやられてカニバリストになってしまうんだな。不幸だな。（アンソニー・ホプキンスの役者ネタ）

ブラック・レイン
リドリー・スコット　監督　|　映画　1989年

Jan. 3. Mon. 2011　鑑賞

下記の映画があんまりだったのでお口直しが必要と判断。しかし正月とはいえすぐ翌日に鑑賞とか、よほどじりじりしていたのだろう。
　豪華キャストのアクションでサスペンスな娯楽巨編だと思っていたし、実際その通りだったので水洗便所として最適だった。などと書くとあんまりだが、あんまりなのは下記の「2300年未来への旅」なのであって、本作はふつうにおもしろかったです。マイケル・ダグラス、アンディ・ガルシア（よく知らないけど二枚目だった）、高倉健、松田優作（遺作）の競演。
　でも最も期待していたのは、監督のリドリー・スコットがロケ地の大阪の街を「ブレード・ランナー」にしてくれること。そして現代劇にも関わらずしっかりブレラン風 OSAKA にしてくれていました。リドリーと美術スタッフが自信満々で作ったという日本風看板も日本人から見ればおかしな作りで大満足でした。
　高倉健を始めとした日本人の描き方については、89年当時もあんな印象だったのだろうなという仁義礼で、良くも悪くも堅物。それは現在もあまり変わらないのかも知れない。私たちが米国人に抱くイメージがネット時代もさほど変わらないように。まあ、主題でもあるから多少マンガチックにわかりやすく描いているのか。（松田優作だけは黒い雨の洗礼を受けた米国式という設定らしい。）
　やっぱり貶しているようだけど、本当に楽しめる、良い映画です。

2300年未来への旅
マイケル・アンダーソン　監督　|　映画　1976年

Jan. 2. Sun. 2011　鑑賞

なんともやる気のないタイトルである。しかし実は「LOGAN'S RUN」が原題。米国で掘り出してきた快作を日本に広く紹介するには……。そうして捻り出された苦肉の邦題なのだろう。観てくれれば、理解してもらえると。
　ひゃー！　これはすごい。理解した。邦題から醸し出される脱力感をそのままフィルムに焼き付けたような怪作であった。ジャストな邦題だったのだ。こんな便乗商法のようなタイトルなのにDVD化もされてレンタルの棚に常に場所をキープしているのだから、もしかしたら何かあるのか？などと一寸でも思ったのは愚かだった。しかしこれはもう、ネタとして生き続けるのだろう。
　新年初、そして新調した Mac の大画面で初めて観たのがこれというのはなかなか堪える。

弥生荘の東2-3号室。同じ専攻の Uさんの部屋。作業場は押入の上段。
　東京都との県境、橋本の弥生荘には美術系の学生が続々と集まっていた。山の上の大学から下山してすぐの弥生荘でよく帰路の道草をし、終電に乗ったり乗り過ごしたりした。このとき町田に暮らしていた私は、2年後にこの押入の向こう側、東2-2号室に入居を果たす。Uさんはコーヒーが入ると壁を叩いて呼んでくれた。
　その弥生荘は、今はもうない。

二年生になった。