white copy papers*

自発性のない帰省をして、どのように過ごしたら良いか判らないまま、数日で再び荷物をまとめた。
　実家から相模原のアパートへ、帰る感じがした。

倉敷にも出かけてみたが、ひどく退屈だった。名画を観るでもなく、ただうろうろして帰った。何枚か撮った写真もすべて退屈だった。

実家への帰省措置によって課題制作からは解放されたが、毎日誰かと顔を合わせる生活は心休まらなかった。体が動けば、家の外に出ようと思った。

一日中吹いた強い風にもう冷たさはなく。

ベルリン・天使の詩　|　Der Himmel über Berlin
監督 : ヴィム・ヴェンダース　|　映画　1987年

July 8, 2013　鑑賞

よく思い出せないので、ウィキペディアを見てやや思い出しつつ、やっぱりよく憶えていない。そう、刑事コロンボが出てたなとか、東ベルリンの描写が共産圏で嬉しかったとか、そんなことしか思い出せない。

西条は、愛媛県の東部に位置する。湧き水が有名だそうで、駅前の広場だけでなく歩道の脇など町の至る所から水が湧き出ており、その圧倒的な水量を眺めながら、夏場の水不足に毎年悩まされながら何故かうどんの文化を築いた隣県香川讃岐を想った。
　雨が上がった後の青空の向こうに、大きな煙突が何本も見えた。海の方に工業地帯があるのだろう。父の仕事は昔からいつも、そうした場所が舞台だった。とりあえず煙突のある方へ歩いてみようと思った。
　見知らぬ土地。たぶんもう二度と来ない土地。

人工知能の妨害もなく、ミッションはすぐに完了した。駅前に現れた父と喫茶店でモーニングを食べながら、免許証を渡した。何を話したかは憶えていない。とにかく役目は終わった。父は仕事へ。僕はただの無職に戻った。

ロケーション・ハンティング
監督 : 荻島 健斗　|　映画　2015年

Mar. 5, 2015　鑑賞

若い映画作家が、ロケハンのために見知らぬ土地を訪れる。その様子を追いながら、様々な人々との邂逅が複雑に絡み合うようで、追いかけていると思った時系列や因果関係は次第に解体されて、幾通りかの if を観るように展開していく。
　書きながら気付いたが、これはロケハンを主題材としながら、映画制作そのものすべてを表現しているのではないかと思った。時系列を解体して印象的な場面で再構成するのは編集作業中の混乱のようだし、登場人物が同じような場面を繰り返しつつ僅かに違う台詞を吐くのは役者が脚本に応じて姿を変えることのように感じられる。

何か良さそうな映画はないかとクレールのサイトを眺めているときに見つけて観に行った。京都造形芸術大学の映画制作のクラスの卒業制作とのこと。きっとヘンな映画を観られると思った。期待は裏切られなかった。
　そして主人公がロケハンに訪れる見知らぬ土地は、僕のよく見知った岡山だ。冒頭で主人公が持つ紙袋のロゴがはっきりと描写される前から、HAKUJUJIだと思ったし、それはやはりHAKUJUJIだった。僕もやはりどうやっても岡山人だったのだ。

ふと思い立って買ってきた安ビールを飲みながら、これを書いている。こうやってビールなどを買ってくるのはいつ以来だろう。先年の夏は暑かったからそういうこともあったかも知れない。とにかく、思い出せない。
　一緒に買ってきた百五円のスナック菓子は科学的に旨味が効いている。たぶん、こうして暖かい部屋でビールとジャンクをやろうなどと思い立ったのは、カズがゴールを決めたからだ。正確には、決めた、らしい。インターネットで知ったのだ。カズがゴールを決めた、と。

コンビニの兄ちゃんは無愛想だった。カズのゴールを観られなかったからかも知れない。既にポイントを付けてもらったTSUTAYAのカードの提示を再び求められたが、彼は手違いに気付いてばつが悪そうに笑った。
　店を出ると丁度、通りの向かいを黒い猫が駆けて行った。通りには人が幾人か居たが、たぶん気付いたのは私だけだったと思う。だからこうして、記しておく。

2011年 3月 29日 火曜日
【日本代表】2 : 1【Jリーグ TEAM AS ONE】

夕食に呼ばれて実家へ向かう頃、アパートの棟と実家の棟との間に切り取られた真上の空に、ちょうどオリオン座が上がっていることに最近気付いた。