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一台 16 ページ( 用紙サイズの都合により 8 頁折をふたつ )の構成、両面印刷の各ページにノンブルを振るなど、面付け、製本の際には実際の出版物をシミュレートした。
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わたしとチャイカ
Chajka - II が届いた日のことは今でも憶えている。
それはつい十日程前のことであった。憶えているわけだ。郵便屋より手渡されたエキゾチックな小包は遥かロシヤの不思議なスメルを纏って現れた。噂通り、酷く臭かった。
Chajka - II( チャイカ2 )は、かつての超大国ソビエト連邦で '60 から '70 あたりにかけて製造されていたという、ハーフ判カメラである。
チャイカとはロシヤ語のカモメを意味し、ЧАЙКА と表記される。このカメラのロゴや取り扱い説明書にも所々カモメの図案があしらわれている。すばらしい。
スナップ用にハーフカメラを探していた私は、ある日インターネットでこのカメラを知った。機体の写真を一見して、美しいと思った。軍艦のトップはカウンターなどの窓があるのみ、操作系は下部に集められるか本体に埋め込まれるように配置されており、とにかくフラットな外観であった。すばらしい。
私は忽ち Chajka - II の虜となり、さらに多くを知ることとなった。それはロシヤ共産主義の悲劇とも言えた。
杜撰な工作精度、目を疑う初期不良率、ウォッカ、ボリシェビキ、インターナショナル...
そしてこの Chajka - II 最大の謎であろうレンズ取り外し機構。Chajka - II(後継機の 3 や 2M も)はコンパクトカメラとしては珍しく、レンズを外すことができる。しかし、交換レンズが公式に存在するわけではない。謎だ。すばらしい。
すばらしいので私はオークションで落札した。ロシヤのこれまた杜撰な郵便機構に不安を掻き立てられながら待つこと三週間強、それは来た。(何故かどこも壊れていない)完動品であった。私は運が良い。
真面目な話をするとこのカメラ、確かに日本製品に慣れていれば工作の荒さなども気になるが、単純でメンテナンスのし易い機構であり、何より重要な撮影に関しては、フルマニュアルで撮影者の意図を忠実に反映してくれる。偶然か考えられたものか判らないがシャッターボタンの位置も、縦に構えると横構図となるハーフカメラの特性を活かした絶妙の配置と言える。
私は今回の撮影にあたってその機能性を実感し、外観だけでなくトータルで“すばらしい”カメラであることを確認した。
この写真集『 Sea Gull / 2 』は、私が Chajka - II で撮影した通算二本目のフィルムからの構成である。
Sea Gull は英語のカモメ。ハーフカメラなので半分、分母 “ 2 ” としている。
動作テストを兼ねていたり、浮かれていいかげんに撮ったものが多いので写真としては別にどうというものではない。ただ、勢い余って製本までしてしまう心意気を汲んで、撮影のいいかげんさ、ロシヤカメラの出鱈目具合などの雰囲気も愉しんでいただければ幸いです。
平成 廿年 弥生 六日
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後日談
サイトの更新を追っていただければおわかりになると思いますが、この Chajka - II はこれ以降スナップ撮影で大活躍しています。
ぜったいにどこか数カ所壊れているだろう、或いは注文と違うもの(カメラですらない)が届くかも、最悪の場合は一年待っても何も届かないかも知れないというところまで覚悟をしてロシヤ人に振込をしました。ドキドキ!ロシアン郵便ルーレット!
結果的にほぼ日程通り、しかも目立っておかしいところがどこにもない機体が届き、写る写真自体も(良いか悪いかはサイトをミテネ)満足!さすがプーチン!ダメな郵便局員は SHUKUSEI!
ということで、ここ数年分の運勢をこのロシアン取引で遣い果たしたのではという気がしてきた、ますます冴えない昨今の私でございます。
Jul. 26. Sun. 2009
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