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新郎新婦も退場し、宿もとらず終電も調べずに現れた田舎者をご学友のみなさんが夜通し連れ回してくれ、飲んで吐いて、カラオケでエレカシを絶叫などした。
翌朝、親切なご学友のみなさんに別れを告げて、普通列車で帰った。数日後の東京の面接試験は落ちた。(オワリ)
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二次会にて、新郎新婦双方のご友人らから大層おもしろがられたと後日聞かされ赤面の至り。
奥様とはこの日が初めてでしたが、おそらくもうお会いする機会はないでしょう。
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二次会が始まるのを外でぼやんと待っていると、前の通りを若い男女のグループが賑やかに歩いてきた。低いのによく通る声が陽の落ちた通りを満たしていた。その男に視線が吸われ、こちらも吸った。大学の同期で大阪のメーカーに就職したFさんだった。だいぶ膨れていた。
「おいおいオマエ、何してんだこんなとこで。生きてたのか?」
「ああ、友達の結婚式でね」
大学を出てからのことや他の人たちの動向などを少し聞いて、「とりあえずまた今度な」と電話番号を交換すると、Fさんは元のグループを追ってどこかへ行った。
それっきりお互い電話も何もしていないが、こっちはもう心配いらないぜ。
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一昨日、仕事の用事で東京へ行った。17時に品川で降りて、駅前のビルで打合せをして、20時半の終電で帰った。品川にはなにひとつ懐かしいものがなかった。学生の頃に少し歩いたのは、反対側の出口だったようだ。
三年前の冬に、非常に感傷的な理由で夜行上京し、一日中歩き回って晩のバスで帰ったことがあった。あのときなんとなく、「おしまい」と思った。オリンピックもあるし、今もひとつひとつ、知らない場所へと変わりつづけていることだろう。
東海道の南には晴れ空に見事な雲が涌き上がっていた日で、どこの何という町かも判らず窓越しにシャッターを切りまくっていたら、ちょうど品川の高輪口を出たところでフィルムが切れた。撮りたいものは、そこにはなかったのだけど。
2016.08.26
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大学時代のご学友たちに囲まれて孤軍奮闘。デザートビュッフェのお時間にはすっかり酔いが回り、うずたかく積まれたスイーツとそれに群がる華やかなドレスたちをグラス片手に遠巻きに眺めていると、ティーン以前に会ったきりの新郎の妹君に発見され、お互い急に大人になった時間の空白を語り合った。
ご両親ともお話をする中で、彼が転校してきた頃、僕という少年がいかに親切で爽やかな男児であったかというエピソードを伺い、我がことながらとても感心した。(つづく)
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知らない人たち。
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5年ぶりに会った。というか、見た。
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僕を大阪へ招いた人物は、今でも連絡のつく友人のうちで最も古いつきあいで、それは彼が小学四年の頭に大阪から転校してきた日が始まりで、住居は互いに直線距離で50米ほど、受験が要るような中学へ進学したと思ったら高校の合格発表で再会し、以後クラスも部活動も交友関係もちがうのに細々と付き合いをつづけ、携帯電話が普及しきっていなかった大学時代でも東京大阪間で年に二度程度のメール交信をしながら、僕が徐々に沈没していく間に、どこをどうしたか、突然に結婚披露宴の招待状が届いた。
済まないと思ったが、お祝儀には一萬円しか包めなかった。
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トラップ・ストリート/Trap Street
監督 : ヴィヴィアン・チュイ | 映画 2013年
宇野港芸術映画座/玉野市 宇野港野外トレーラー劇場
Aug. 7, 2015 鑑賞
そこに存在するのに地図には記載されていない路地を見つけた測量技師の青年が、その界隈をうろうろして酷い目に遭うお話。幽霊話ではなく、陰謀チックなやつ。
通りにある施設が何だったのか、出入りする女は何者だったのか、そういうところがはっきり描かれることがなく、いつの間にか身分を洗われ、にこにこしながら目だけは笑っていない男に尋問を受け、ボコボコにされて市街の一角にほっぽり出され、勤めていた会社は潰れている。謎明かしがない故に、解決や復讐などのカタルシスがなく、ホラーな後味。
かなりデフォルメした描き方をしているようには思ったが、それでも中国では上映の認可が下りなかったそうです。
現代の南京が舞台で、都市部の様子は日本のそれとほぼ変わらない感じだったり、旧市街らしき地区の描写はやっぱり中国的なカオティックでおもしろかった。
夜中のトレーラー劇場ねらいで毎回なにかひとつ観に行くようにしています。
宇野港芸術映画座 | Uno Port Art Films
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blue, blue age
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2003年9月20日
雨の土曜日の夕方、専攻の同期の女の子から電話がかかってきて、改装して入居した弥生荘の白い部屋を見学に来るという。
なんということでしょう。前々から見たいとは聞いていたものの、本当にいらっしゃるとは。お客さまは、CおねえさんとNちゃん。
[東2-2号室]をひととおり見学したあと、同じく同期で4浪のIさんが住まう隣室[東2-1号室]もご案内し、弥生荘を堪能していただいた。
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そのうちお客さま方が「おなかがすいたからごはんをつくろう」などと言い出したので、これはいよいよ愉快な展開だと思い、2部屋の台所をフル活用してみんなで手分けをして支度をした。
僕は前日に買った野菜をカットした。無印の小さな炊飯器で目一杯お米を炊いた。
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近所に住んでいた同期のHくんもやってきて、5人でボロ板のローテーブルを囲んだ。
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卒業制作の話とかしてたんかね。
楽しかったにちがいなかった秋の晩。
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blue, blue age
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以前からよくお世話になっていた八百屋に久しぶりに足を運ぶと、並んでいる野菜はどれもこれも鮮やかな色彩を反射しているのでした。
それは、少し遅れてやってきた夏の申し訳のようでした。
とにかくどれをとっても美味しそうなので調理計画も立てずにあれこれと買物カゴに放り込みました。
茄子5本トマト3玉ピーマン5個タマネギ5個ジャガイモ7個豆腐1丁。¥619(税込)。
……平成15年9月19日
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奥の方が温かいはずなのさ。
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そして大阪に着いた。
(つづく)
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その面接を前に、仕事もお金もないというのに人前に出ることを考えると気が重かった。
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数日後に東京で面接試験を受けることになっていたので、心地の悪い不安感や緊張感があった。
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無職でお金が全然なかったので就職活動をしており、数日後に東京で面接試験を受けることになっていた。
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新幹線をケチッたのは、無職でお金が全然なかったからだ。
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朝が早かったのは、新幹線をケチッて山陽本線の普通列車で上ったからだ。
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もうそろそろ、この話もいいだろう。
“いいだろう”と思うのは、もうだいぶ昔のことだなと思うからだ。たぶん当事者たちも、そう思うだろう。
この日、かなりの朝早くから、似合わない背広を着て岡山駅で列車の時刻を待っていた。
やや緊張していたのと、まったく懐具合が寒々しく、とても惨めな気分で暮らしていた頃だったので、3割か4割ほど、行きたくはないと思っていた。残り6、7割は、行きたいとか、行かねばなるまいと思っていた。
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ロブスター/The Lobster
監督 : ヨルゴス・ランティモス | 映画 2015年
シネマ・クレール
Aug. 11, 2016 鑑賞
2016年8月11日木曜日(それは昨日)、暗号解読のアルバイトの休憩にいつも使っている喫茶で、いつもニコニコの給仕のおねえさんからお冷やの注ぎ足しついでに「お仕事は何をされてるんですか?」とお尋ねられ。お互いに素性など知らぬ方がロマンがあるのにと思いつつ言葉を濁したり勿体ぶるのもおかしいので、自営の養殖業と季節性の暗号解読を少々などというコミュニケーションが発生した。店に通い始めて1年ほどになる。
当初は特になんとも思っていなかったのだが、あんまりいつもニコニコと接してくださるので、もてない男はチョロいのだった。とりあえず内々に「ニコねえさん」との愛称を設け、季節性のアルバイトの季節が終わる頃には暫く来ない旨を告げる程度には気を遣うのだった(お別れの挨拶というより、たびたび訪れていた客がある日突然来なくなるのは飲食店として気になるのではと思うから)。そうして季節性の季節が巡り、久しぶりにお店を訪れれば、「おかえりなさい」などと言われるようになってしまっているのだった。
いつも同じメニューしか注文しなかったり「おしゃれ大好き」などと大書きされたTシャツを着て来たり支払いに紙幣しか使わないような人物を怪しみ珍しんでいるのだろうと思うが、なんであれぴちぴちのおねえさんから興味を向けられるのは悪い気はしないのだった。
コーヒーの残りをすすりながら読んでいた小説がちょうど、非常に可笑しい場面を迎えており、かみ殺すこともできずにやにやして午後の一刻を過ごしながら思ったのは、僕はもう何年も昔に電話でお別れして以来もう何年もいわゆる女性ともう何年もお付き合いをしておらず、それは特にそうした意志が強くあるわけではないがそれも含む複合的な要因により諸々無理!というところで落ちついてしまって結局もう何年にもなるのだった。この現状について忸怩たる思いを抱いてはいるが、それとは別に、おねえさんに話しかけられたり好きな本を読みながらコーヒーを喫んだり仕事が忙しかったり暇だったりするのは愉快なことだと思うのだった。
読んでいた小説はちょうど、二人の兄弟が各々の恋愛について噛み合わぬ不毛な語らいをしているところであった。
それは偶々いつもの仕事の休憩時に生じた事案であり、元々その日の勤務明けに映画を観に行こうと画策していたのだった。独身であることが罪とされる世界が描かれており、複合的な要因による否定的肯定的独身者のひとりとして、狂気を見届けなければと思っていたのだった。
ふたりで在ることも、独りで居ることも、いずれにも自由は許されず、逃げた先でも愛を試される、素敵な映画だった。自身の暮らしぶりに反映されるとも思わないが、観て良かったと思う。
彼はトイレで痛みに震えてうずくまっているかもしれないし、また逃げて何処かへ消えたのかもしれない。
笑わせようとしない感じのジェットブラックなジョークなのか、もしかすると本気なのか、でも僕はニヤニヤしながら鑑賞しました。
シネマ・クレール | cinemaclair.co.jp
岡山市北区丸の内
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二〇一六(平成二十八)年 三十五歳
八月、ひとりでアトミック・カフェにて避暑。先日友人が注文し羨ましく思っていた「レモン・スカッシュ」を頼む。「(冬に取り組んで頓挫したままの)レモン画を描かねばならない」とふともらした一刻もあった。
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